キャロろんのイケナイ課外授業

第02話
ゲリンジク(#02 p.16
Gelincik(ゲリンジック)はヒナゲシの花のことで、トルコ語で《花嫁ちゃん》の意.
第08話
徴募(=Recruit)、資産(=Asset)(#08 p.16
徴募=スパイとして.資産=情報提供者=スパイ.
第09話
私の故郷(#09 p.20
ルシエ族の生活様式について詳細な公式設定は無い……と思う.
StS#05の冒頭での天幕、キャロのフードなどから、 少なくとも、乾燥地帯で移牧を行っている民族のイメージだと推測した.

本作では、トルコ系遊牧民ユルックを『ヴィヴィッドに綴った』 (裏表紙紹介文より)『遊牧の世界』『遊牧民の肖像』に基づき、 これをルシエ族のモデルとした.
バイブル2つは読み物としてもめちゃ面白いので、是非是非.

ゲストも労働に携わる(#09 p.20
  • 『もっとも、[来客が] その意向をあきらかにしたのは翌朝になってからである。 チャドルの主人は客に来訪の目的をたずねることもなく、客もそれに直接ふれない。初対面の客であっても、それがもてなしの礼儀のようだ。』 『遊牧の世界』 p.356
  • 『 ... [遊牧民は] 3日の間は事情をまったくきかずに、彼に食事を与え、そこに寝泊まりさせる。 もしその外来者が3日間以上滞在することになると、彼はその場で、そこの主人の食客ということになり、主人の従属者として遇せられることになる。』 『世界の民族15』 p.11
第10話
ヴィヴィオとキャロの身長(#10 pp.02-03
『StrikerS 設定資料集 SIDE A』の1ページ目から概算すると、19歳なのは160cm[公式] と比較して聖王ヴィヴィオは170近い.
対してキャロは120台くらいで(ViVid #02 p.37の「1.5cm伸びた」[公式] という発言から、StS後も急な成長は無さそう)、 これだとヴィヴィオの胸の高さ程度 (うーんナデナデしたい.ちなみに日本人10歳女子平均は140)
ドラッバではヴィヴィオとキャロが並び立つことが多いので、あまりキャロが小さいと収まりが悪く、何が言いたいかというと身長比は超適当です.
交渉術(#10 p.12
  • 『 ... 子ヒツジを目のまえにしながら商談がはじまった。買手は値をたたくため一方的にけなす。 ...(中略)... 売手側は、 ...(中略)... ひたすらほめる。ひとわたり儀礼的ないいあいがすむと、手をにぎりあう。 握手をした手をおおきく上下にふりながら、買手が値をつける。買手が同意を強要しながら手をふりつづける。 両者のあいだに同意が成立しないと、手を放す。ふたたび儀礼的ないいあいがはじまる。ころあいをみて握手をし、手をふりながら売手が買手のいい値をうながす。これにたいして売手がつけ値をしめす。 同意が成立しないと、また手をほどいて議論をくりかえす。このくりかえしをつづけながら、商談は二時間ちかくにおよんだ。』 『遊牧の世界』 p.357
タクシーの運賃交渉で使うものではないだろうが、面白いので描いてみた.両者とも歩み寄りがスピーディ過ぎるとは思うけれど……
交渉文句が途切れた方が提示権を失い一気に値段を引きずられるというアンリトンルールは創作で、根拠無し.
ガソリン価格(#10 p.17
1980年1月時点で、1 (旧)トルコリラ ≒ 6.8円.
この時のガソリン価格はおよそ15リラ ≒ 100円/リットル.ただし、日本の物価は1980年:2010年=80:100 なので、テキトーに補正すると125円(1リラ ≒ 8.5円)くらい?
当時のハイパーインフレで、トルコリラはこの年の夏と冬でさえかなり物価が異なる.あくまで参考までに.
作中ではミッドチルダドル=100円で表記、つまり 1リラ ≒ 8.5円 ≒ 1/12ドルで固定.俺にはこれ以上の考察はできません.

1979年春--夏で

  • チーズ原料『遊牧の世界』 p.364 1kg 100リラ ≒ 850円
  • 羊毛『遊牧の世界』 p.366 1kg 400リラ ≒ 3,400円
  • イスタンブール市バス『遊牧民の肖像』 p.105 25リラ ≒ 210円
とあるので、ガソリンは結構高い……ようなそうでもないような……
ケバブの値段は超適当 (おそらく安い.仔ヒツジ1頭3000リラ程度で取引されていた『遊牧の世界』 p.357ようだし)

メブルット(#10 p.54
大嘘.
メブルットは大勢に集まって会食したりコーランを暗誦したりする儀式、とある『遊牧民の肖像』 p.123
本作では祝福を施す儀式という意味で使う.
五畜二禽獣(#10 p.96
「五畜二禽獣」の言い回しは創作だが、動物の種類と位置付けは事実準拠.
本編では牧羊とオオカミ対策のイヌ、の代わりに飛竜の力を借りるように説明しているが、ユルック遊牧民ではイヌは牧羊犬としての使い方はしないようだ『遊牧の世界』 p.64
第11話
ナザルとジン(#11 p.05
ナザルは「邪視」「嫉妬の視線」という意味.ただしファンタジーっぽく、「穢れ」という訳に変えた.
ユルックではものの数を数えるときでさえ指を差さず目だけで数えるという.
ナザルとジンについてはまた後ほど.
師匠様(#11 p.16
師匠様、というのは地域によっては「シャーマンの家系」を指す、というのをネットで見た気がする.
ヤギの搾乳方法(#11 pp.19--20
ほぼ準拠『遊牧の世界』 p.76
母ヤギの2列の正面に主人が立ち、先頭の2匹のあごひげ (ドラッバではツノ)を持つ
娘たちが2匹の後ろ足の間から手を差し入れ、搾乳する.終わったら主人の後方にヤギを放す.
その間家族全員で2列が乱れないよう後ろからせっついている.
カトゥシュ(#11 pp.21--23
準拠『遊牧の世界』 p.78
母と仔が会えるのは搾乳後のわずかな時間だけ、おそらく『乙嫁語り』第1巻の150ページがこれ.
ヤギの搾乳期間は5月から10月終わりまでで、このほぼ全期間において何らかの「授乳コントロール」をとる. 時期によっては母の乳房に牛糞を塗ったりもするようだ『遊牧の世界』 p.80

ちなみに『乙嫁』では搾乳時にヒツジの首を交互に縄で固定する方法をとってるように見える.
パシュトゥーン系遊牧民はこういった方法を使ってたと調べた気がするが、ユルックにおいてはヒツジの搾乳はそれほど体系的ではない、とある『遊牧の世界』 p.76

第12話
家畜税(#12 p.09
準拠『遊牧の世界』 pp.163--164『遊牧民の肖像』 pp.146--152 だが、これは1950年代に廃止された. ここではヤギの売却額のインフレ率(1950s: 20リラ、1979: 4000リラ)から、架空の税額を計算した.
家畜分類体系(#12 pp.11--21
ほぼ準拠『遊牧の世界』 pp.67--71.ただし、一部改変したり、解釈に勝手な推測を加えてある.
ルシエのモデルとして『遊牧の世界』『遊牧民の肖像』を読むにあたり、ragが最も感動した「異文化」の1つ.

ここから余談.
日本で言うと、魚のうち味や大きさで名前が変わるもの、すなわち出世魚がこれに近い概念ではなかろうか. マグロなんかも大きさによって名前が異なると聞く.
あと山手線の豆知識映してるやつで、なんかの魚は水揚げされた後解体されていくに従って呼称が変化するとか見た覚えがある (ググってもよく分からない……)
いずれにしても市場価値で名称変化が起こる、というのはかなり興味深い.

人間年齢体系(#12 pp.21--22
完全創作.
#05 p.05で、なのはが「ママ1歳」と発言しているのがかなり近い.
ジャナワル(オオカミ)(#12 pp.23--27
オオカミに関する記述はほぼ準拠『遊牧の世界』 p.331『遊牧民の肖像』 pp.55--60
オオカミを人間の祖先に位置づける逸話 (細かい設定や竜の登場は改変) も、『魏書』高車伝、『周書』突厥伝に記されているという『遊牧民の肖像』 pp.61--64
第13話
去勢(#13 p.05
文献に準拠『遊牧の世界』 pp.89--93
  • 『二人がかりで [オスヤギを] 地面に横だおしにおさえつけた。ムスタファは小刀で睾丸の先端部の皮膚に三センチメートルくらいの切れ目を入れた。 睾丸の根もとを指で圧迫して皮膚の切り口から半分くらいそとへおしだした。むきだしになった睾丸の中ほどに一〇センチメートルくらいのふとい針をつきさし、針穴にとおした糸を指にからめてぐるぐるとまわしながら 睾丸をぬきとった。もういっぽうの睾丸もおなじ手順で摘出する。きず口に松脂からつくった外傷薬プシェをぬった。きず口はしばらずにそのままにしておく。』 『遊牧の世界』 p.91
  • 『チョシル・ユルックではおこわれていないが、摘出法(チェクメ)以外の去勢法がほかの地域でみられる。指または糸をつかって睾丸への血脈のながれをとめる結糺法(ブルマ)、 板ではさんだ睾丸を石などでたたきつぶす叩打法(ドウメ)、前歯で睾丸への血脈のながれをかみきってとめる咬歯法(ディシレ・イーディシュ)などがある。 ...(中略)... 第二次世界大戦後はペンチ状の道具で睾丸をつぶす機械法(マキナ・イーディシュ)がひろまった。』 『遊牧の世界』 pp.91--92
  • 『ユルックのあいだでは、去勢の現場をみずしらずの人やよそ者に見られることを忌避する。邪視(ナザル)が家畜にとりつくのをおそれるためだ。そのため、部外者はなるべくちかよらせないようにして、 こっそりと去勢をおこなうことがおおい。』 『遊牧の世界』 p.90
子供であっても家畜の屠殺や犠牲を怖がらない理由について、本編で《否定の生》であると書いたのは、根拠は無いが当たらずといえども……というところではなかろうか.
自由(セルベスト)(#13 p.18
  • 『それでも、定住化したユルックが遊牧生活をなつかしむときがないではない。それは「自由(セルベスト)」ということだ。現在なお遊牧生活をつづける連中の最終的なささえとなっているのも、 この「自由」の感覚である。大地にしばりつけられていない自由さ、一ヵ所にとどめおかれない自由さをすてる気にはならない、という。 とくに夏営地にあがったときの解放感はなにものにもかえがたい、と主張する。』 『遊牧の世界』 p.397
第14話
寝る時さえ吹きさらし(#14 p.07
  • 『ムスタファにとってなによりも苦痛だったのは、壁でかこまれた空間で寝ることだった。織り目のあいだから空気が自由に流通するチャドルでのくらしが身についたムスタファにとっては、 外気をさえぎる壁や天井にどこか圧迫感を覚えるのだ。胸がくるしくなって、よくねむれない。どうしても我慢できなくなったときは、兵舎をぬけだしてそとで寝た。 もちろん、規律違反の行為にあたる。みつかったときは、こっぴどくなぐられた。』 『遊牧民の肖像』 pp.241--243
スートゥルウ(水袋)の中は冷たく保たれて(#14 p.15
  • 『放射冷却の作用で内部の水がつねに適当なつめたさにたもたれている』 『遊牧民の肖像』 pp.28
とあるが、これは気化熱作用ではないかと思う.
水汲み(#14 p.16
水場への距離は季節によってまちまちだが、例えば秋営地=往復2km、夏営地=往復20kmくらい.
水袋、水場への距離が重要でない話、家畜に水を飲ませる仕事と洗濯の仕事、サダカされた井戸や水飲み場、 など第14話の水をめぐる小ネタはほぼ全て準拠『遊牧民の肖像』 pp.32--38
サダカ(#14 p.19
サダカは辞書的には「喜捨」(イスラムで、裕福な者から貧しい者への施し)の意だが、 ユルックでは「公共化」「供える」「皆に分け与える」の意味合い『遊牧の世界』 p.152,pp.328--330 が強いように感じられた.

一点疑問なのは、洗濯に使う2つのカザン(銅製鍋)である.
サダカでないとすれば、洗濯日には大きな鍋2つを泉へ背負って行かなければならないわけだが、どうなのだろう……?サダカでない(爆)
サダカされている方が面白いように思ったので、本作では鍋も泉で公共化されている、とした.

叩き洗い(#14 p.24
文献『遊牧民の肖像』 p.36--37 中では、
  1. 木灰を入れつつカザンで煮る
  2. 砧(きぬた)で叩く
  3. よどみでゆすぐ
  4. 岩の上に置き乾かす
のように説明がなされているが、これは砧ではなくただの洗濯槌であろうと思う.
第16話
乳製品(#16 p.07
文献に準拠『遊牧の世界』 pp.83--88, pp.292--293, p.340, pp.365--368, [遊牧民の肖像』 p.15
仔ウシや仔ヤギの胃から凝固作用を得ることは世界的に行われているようだ. 家畜の仔の胃を真似ることで乳を飲む生命力を……の部分は勝手かつ適当な解釈.

別の遊牧民についても少し触れる.
パシュトゥーン遊牧民『遊牧という文化』 pp.53--56 においては、 ヨーグルトを入れた皮袋 (ユルックではヤユックと呼ぶ) をフィシェク棒で攪拌する代わりに皮袋を揺する作業に置き換わっていたり、 バター系とヨーグルト系が明確に区別されていないようであるが、 ヨーグルト加工体系はほとんど同じと言える. 乳製品の加工過程では貴重な水を大量に使うため、最後に残ったサル・スーも家畜用飲料水として余すところなく利用するところも共通している. チョケレクに近いものをクルットと呼び、放牧中の簡易食や冬の保存食料として用いられている.

タバク・ハスタス(口蹄疫)(#16 p.15
畜産業に生活を委ねる遊牧民が最も恐れる流行病『遊牧の世界』 pp.246--249
現実には、口蹄疫に対しては防疫というより発見次第殺処分することになっているが、ここでは架空の優れたワクチンが存在することとした.
ダニ駆除剤(#16 p.15
少なくとも1970年代、ユルック遊牧民は「DDT」という農薬を家畜のダニ駆除の為に用いている『遊牧の世界』 pp.206--207 が、 これは現在では環境汚染物質として基本的に使用が禁止されている.
ドラッバでは「DDDT」という架空の物質に置き換えた.
竪機 [たてはた](#16 p.16
いわゆる編み機.木材を組んで作る伝統的なもの『「織物」用具と使い方』 p.6
ヤギやヒツジの夏毛を刈るのは主に7月下旬--8月くらい (一部例外) で、本編のこの段階ではハシム一家はまだ大々的には剪毛していない (#14 p.31でもスクラが発言). なのでチャドルの側に竪機を設置する必要はまだないと思うが、せっかくなので描いた.
第17話
剪毛(#17 p.04
準拠『遊牧の世界』 pp.360--365
ヤギの剪毛は、木陰にビニールシートを引き、シティル(壁幕)で囲った中で行う.ヒツジはチャドルの中で剪毛する. テケ(オスヤギ)など剪毛の時期が若干異なるものがいる.
毛製品(#17 p.04
StrikerS #05話の回想シーンに合わせてルシエのチャドルやマントを変更したことに伴い、 毛の用途の変更がややこしい……
  • 円天幕=ユルタ(本編で描写.実際にはモンゴルから西アジア(キルギス族、ウズベク族など))
  • 黒天幕=チャドル(ユルック遊牧民 ※)
ユルックではヤギ毛をあらゆるものに加工するが、ヒツジ毛はほとんどを売却し自家消費は一部、とある.

※トルコ系遊牧民もかつて円天幕を採用しており、一部にはまだ残っている『遊牧民の肖像』 p.17

喉をかき切る(#17 p.16
準拠.イスラムの教えでは病死・事故死した動物の肉は、人間がとどめをさしたもの以外は穢れているため、食べることはできない『遊牧民の肖像』 p.71. 理由については詳細に調べていないが、
  • 『なにか邪悪な、呪術的なヴァイオレンスの犠牲となって死んだ』 『聖なるものと〈永遠回帰〉』 p.18
ものを、喉をかき切ることで「計画的犠牲」によって上書きする……という考え方ではないだろうか.
黙祷(#17 p.17
ユルック遊牧民が慰霊 (というとズレてるかもしれないが) のための黙祷を行うのかどうか、よく分からない.
ジン憑きと病気(#17 p.19
崖から落ちた家畜が息絶える前に屠り、その心臓を投げつけて娘の風邪を治すエピソード『遊牧民の肖像』 pp.99--101 より. 最後に心臓を2人で分け合って食べ、さらにお礼を返すところまでが一連の決まり事であるという. 『遊牧民の肖像』ではこの「お礼」は5リラ札となっていて、さらにこの紙幣を巡ってせつない恋物語が展開されている.
ドラッバでは容態が急変した病気(ビティク)の仔ヒツジを使うことにした. ただし、ビティクは本当は冬の病気.ユルックではビティクにかかった家畜には外科手術を施すという!『遊牧の世界』 pp.239--242

ジンについて……
文献『遊牧民の肖像] 中では『ジンが憑くと体調を崩しやすくなる』とあるが、 モロッコ人の友人に聞いたところ、ジンにかかってもいわゆる「悪魔憑き」の状態になるだけで、風邪を引くわけではないという. ジン憑きに付随するユニークな治療法はあるかという問いにも、もっぱらコーランを読むのだという答えだった. イスラム文化圏の中でも信仰には地域性があるのだろうか.

あと背中を出す必要は現実には無いっていうか文化的にも絶対出しちゃいけないと思うので念のため.

第18話
家畜探し(#18 p.03
  • 遊牧民の家畜飼養の大きな特徴は、家畜を拘束しないことだといってよいだろう。 ...(中略)... パシュトゥーン遊牧民もバルーチュ遊牧民も、家畜を飼うための畜舎や家畜囲いの類をいっさい用いない。 ...(中略)... 支柱と目の粗い網があれば、移動時には持ち運べる、ごく簡単な家畜の柵をつくることができる。しかし遊牧民は、まったくこうは考えない。 ...(中略)... そして、家畜がいなくなると皆で捜しに出かける。くり返しくり返し、いなくなった家畜捜しである。トルコのユルック遊牧民について、「遊牧生活は失せもの捜しの連続である」 という表現がおこなわれるくらいなのである。 ...(中略)... 動物の管理を厳しくして、人間の意のままに動物を動かすのではなく、動物を自由に行動させて、それに人間の側が従っていくというのが、 遊牧民の動物管理の基本のようにみえる。動物管理は、動物の自主性を認めるかたちで、ゆるやかにしか組織化されていないといってよいだろう。『遊牧という文化』 pp.186--193
除角(#18 p.08
密集して放牧させる際、除角は広く行われているようである.
ただ『遊牧の世界』『遊牧民の肖像』の写真を見る限り、 ユルックのヤギは角がくるりと回るタイプのようで、角は切り落とされていないように見える(それでも多少は危ないのでは……)
除角の習慣が無いのであればその理由が気になるところ.

ルシエでは一貫して家畜の力強さを保つ『遊牧の世界』 p.187 ことにこだわる、という設定にした.

誰が土地を荒らしたか?(#18 p.15
注意すべきは、キャロの語る遊牧民は一般に適用されるものではないということ.
遊牧民と言っても、それは山岳地帯に暮らすもの、砂漠地帯、果ては北極海のトナカイ遊牧民まで、 また(ユルック遊牧民のように)他産業とある程度の経済的関係を持ちつつ完全に浮動住居性の畜産業にて暮らすもの、 サイドビジネス?として穀物生産に携わるものまで、文化的また政治的な側面から考えて多種多様である『世界の民族15』 pp.8--11. 歴史上、軍事力を以って領土を拡大した遊牧帝国も存在した.
「小規模な人口で土地の持続可能開発を行う遊牧民」 V.S. 「無計画農耕を行う定住農村」の対立モデルは、 ごく一部の時代のごく一部の姿である『遊牧の世界』 p.18, 『遊牧民の肖像』 p.275, 『世界の民族15』 p.13
  • ... そのままでは利用できなかった砂漠や山岳地帯、広大な草原や荒蕪地を、 群居性の有蹄類を媒介にすることによって人類の生活空間としておしひろげてきた功績を無視することはできない。『遊牧の世界』 p.18
  • 彼らの家畜は、糞という形で、大量の燃料と肥料を提供する。 ... 畑にすきを入れたとき、これが土中の窒素の新陳代謝を助ける。 ... 彼らの畜群は、つねに移動しているために、村の家畜のように土地の草を過度に食べ荒らすことはない。 ... この畜群がいなければ、丘陵部の放牧地はすぐに半砂漠になってしまうだろう。『世界の民族15』 p.13
  • 遊牧が乾燥した土地で行われることは、よく知られている。しかし”遊牧民と彼らが依存している土地との関係”は、しばしば誤解されがちである。 家畜の群れが草地を食い荒らして砂漠化してしまった土地について、遊牧民は責任を負うべきであるとの思い違いが一般にある。 しかし実際には、彼らは荒地に家畜の排泄物などの肥料を施すことによって、たいして役に立たないこれらの土地を、肥沃なものに変えているのである。 例えばソビエト連邦は、カザフ共和国から遊牧民を排除したが、その結果、かつての緑なす一大草原は砂漠化した荒れ地に戻ってしまった。『天幕 遊牧民と狩猟民のすまい』 p.6
ムスカ(#18 p.17
多少改変.実際には
  • ムスカ
    ナザルに効果有り.コーランの文句を書いた紙片を三角形に折ったもの『遊牧の世界』 p.49
  • ひも
    オオカミ被害に効果有り.ムスカを結びつけ、大事なマルの首に巻く『遊牧民の肖像』 p.60

紋様については、StS#05のテント内で見える織物に描かれてる二重菱形は魔除けの「ムスカ」に似てる……気がする『キリムのある部屋』 pp88--89『遊牧の世界』のカラー写真の織物の紋様は「サソリ」か「竜」っぽくて、嬉しい一致.

リイン「私達人間は」(#18 p.27
八神家はマスターとミウラを除き人間ではないが、彼らは人間として扱われてる……気がする.
第19話
ヤギネーミングルール(#19 p.02
ほぼ準拠『遊牧の世界』 pp.250--268 .ただし、ルシエでは白ヤギを飼っていることに合わせて、白と黒の意味を交換しているものがある. またドラッバの都合に合わせていくつか単語を改変した.

『遊牧の世界』で紹介されているヤギの識別体系は以下の3ルール.

  1. 成熟度によるクラス分け
  2. 特徴による個体名
  3. ルール2の母仔襲名
文献中ではっきりと分からないのは、ルール2とルール3のマージ方法である.
すなわち、
  • 『何か特徴的なメスヤギがいるときはそれにたいしてあらたな命名がなされる』 『遊牧の世界』 p.259
以外の時、ルール2に基づき名前を付けるか?ルール3に基づき襲名するか?をどうやって決めるのか、ということだ.
1つの仮説は、身体的特徴は母仔である程度遺伝するため、母の名前を襲名しても仔自身の特徴とそれほど矛盾しない、 もし身体的特徴が大きく矛盾するならば名付け直してよい、という了解である.
もしそうならば、襲名の矛盾例として紹介されているのが 角の本数や歩く速度『遊牧の世界』 p.258 など「遺伝によらない特徴」であること、また
  • 『アク・サル(母ヤギが茶色だったのに子ヤギが白であった)』 『遊牧の世界』 p.258
という命名要素が存在することにも納得がいく.本編ではキャロがこのように説明した.

ダムガ(焼印)とオユク(耳の切り込み)(#19 p.15
仔が生まれたら、春のうちに熱した鉄串を使ってこれらのニシャン(印)を施す『遊牧の世界』 pp.233--235. 切り込みは畜群ごと(つまり世帯)、焼印は人間スラレ(つまり、○○一族)を表している.

なお、人間の女性に同様のシンボルを付ける習慣は完全創作.
右向き三角形(作中ではオヌガと呼んだ)は、中学生の頃の黒歴史マンガから再利用した.

第20話
クズ・カチルマス(略奪婚)(#20 p.10
文献に準拠『遊牧民の肖像』 pp.102--128
バシュルク(髪飾り、あるいは結納料)に関しても文献に則っているが、実際の「髪飾り」がどのようなものか、よく分からない.
第21話
ヤクマック(やきつけ)(#21 p.02
文献に準拠『遊牧の世界』 pp.221--224、ただし「母仔関係操作」という訳は造語.
対象となるのは乳を搾るヤギ、ヒツジ、ウシ. スクラとキャロが説明した通り、死産した母の乳の出を絶やさない為に他の仔をあてがうもの. 数が合わない場合はヤギ・ヒツジの区別を越えて「やきつけ」ることもあるようだ.

出産について…… 『遊牧の世界』 pp.221--224
ヒツジでは母の妊娠出産率は9割、ヤギで7-9割.
ヒツジを詳しく見ると、初産メス(ヤズムシュ)の7割、経産メス(狭義コユン)の9割5分が妊娠出産している. (妊娠しなかった初産メスの多くは売却される為、次年度以降は信頼性が高いことは既に述べた.→#12 p.20 )
文献中では出生数はヤギ・ヒツジ共に100頭程度で、その内5ー10頭が死産であったとある.

イキ・アナル(#21 p.06
準拠『遊牧の世界』 p.223
「2頭の母もち」と訳される.1世帯の中でも数例見られるということから、特に珍しくもないテクニックのようだ.
カイマク(#21 p.14
準拠『遊牧の世界』 p.88
ヴィヴィオが「生クリーム」と言っている通り、トルコ語で「クリーム」の意.
生乳を温めて最初に浮かんでくる贅沢な部分だけを用いたもの.生産的でないので普段はあまり作らない.
第31話
貧国との戦争(#30 p.07
  • 『ムジャヒディーンはまだ派閥的で、組織もバラバラのままである。 これはかれらの最大の弱点であり、最大の強みでもある。比較的に豊かなヨーロッパなら、ソ連はすでにできあがっている政治的なシステムを乗っ取り、 輸送網と経済センターを占領する ...(中略)...  しかし貧困で、田舎の、しかも分裂したアフガニスタンではこうした方法は使えない。スーパーにもし半ば野生の山羊が千頭入っているとしたら、...(中略)... 山羊を一頭ずつ、殺さねばならないし、これは大変な仕事である。』 『国際紛争の読み方』 p.102
第31話
屠殺(#31 p.22
イスラム圏では、喉の動脈をナイフで切るか、首を落とす.また屠殺に当たっては神の名を唱える必要がある.
文献『遊牧民の肖像』 p.71, p.100 によれば、 『コーラン』(あるいはさらにさかのぼって『旧約聖書』)の教えによって血は全て大地にそそがれる必要があるという. 血は神に帰属するものであって、人が利用することはできない.

モンゴル系の遊牧民では胸を少し切って穴をあけ、指で心臓近くの動脈を潰すという手法をとるようだ.血も残さず利用する.
正直に言ってしまえばルシエの屠殺方法はどちらでもよかったのだが、ヴィヴィがすぐにマネできてビジュアル的にインパクトのあるイスラム式にした. (胸に腕を突っ込んで手探りだけで血管潰すなんてできないね!)

解体のイラストは文献『Basic Butchering』 pp.76--90 を参考にしている.
#10 p.57の解体はあまりに下調べ不足だったなぁと反省.

第33話
ソ連の農業改革vs遊牧民(#33 p.01
  • 『農業生産自体が減少し、農村が飢饉に苦しむなかで文字通りの飢餓輸出がおこなわれていた ...(中略)... 三二年には飢饉、飢餓を重大な背景として、農村や一部都市で暴動やスト、食糧強奪が起こっていた。』 『歴史のなかのソ連』 pp.8--9
  • 『三二年末にはパスポート(国内旅券)制度導入が決定された。コルホーズ農民にはパスポートが発給されず、移動が制限されたのである。』 『歴史のなかのソ連』 p.8
  • 『 ... 食糧の調達と配給を支えた農民たちの負担は極めて大きかった。農民たちは、コルホーズでの収穫物を消費することは許されず、 しかも配給対象から除外されたため、住宅付属地でつくったジャガイモを主食とするしかなかった ...(中略)...
    [脚注にて] 住宅付属地 各農民世帯は住宅の付属地として 一般に四分の一から二分の一ヘクタールの土地と若干の家畜をもつ権利を有しており ... 』 『歴史のなかのソ連』 p.16
  • 『戦時に体を張って食糧供給を支えた農民たちは、コルホーズの解体、せめて付属地経営の自由度を高める「ほうび」を期待していたが、 都市と労働者をやしない工業再建の原資を確保するために農村はふたたび収奪されることになった。 コルホーズの生産物は、生産コストにも満たない値で厳しく調達された。 ...(中略)... 四六年から四七年にかけて農村では大規模な飢餓が生じ一〇〇万人以上が死んだといわれる ... 』 『歴史のなかのソ連』 pp.21--22
  • 『 ... 処女地開拓は五四年二--三月の党中央委員会総会で承認されたが ...(中略)... 数十万人といわれる人びとの献身的な努力もあって五六年には最初の豊作となり、処女地開拓は短期的には成功をおさめた。 しかし、そのために費やされた人的・物的なコストは巨大なものであった。』『歴史のなかのソ連』 p.30
  • 『... 例えばカザフ共和国では「処女地」から遊牧民を追い立ててることになり、また多数のロシア人が「入植」したことで現地に民族問題の火種を残した。 加えて、短期間での穀物増産という目先の利益にとらわれて農法を無視した連作を続けたために、せっかく開拓した土地が荒廃して風化が進み、 六三年には大不作となった。』 『歴史のなかのソ連』 pp.41---42
ヤ連の「平和」(#33 p.13
  • 『ソ連はアフガン人がおとなしく、またソ連に敬意をはらってくれる隣人として 振る舞ってほしいと望んでいる。』 『国際紛争の読み方』 p.91
  • 『 ... すべての「外部からの干渉」がなくなれば、...(中略)...撤退するだろうとソ連は主張している。 なにが外部からの干渉になるかは、ソ連にとってはどうでもいいことなのだ。 もし撤退を決めれば、ソ連は使命は達成されたと宣言してそれを実行すればいいだけのことなのだ。モスクワは恥をさらさないですむ。 また「われわれは西側の干渉から発展途上国を救済したのだ」という路線にそって、 撤退を勝利だと宣言することだってできるというものである。』 『国際紛争の読み方』 p.104
第34話
ココロ(#34 p.01
エージェント、という単語は、「心」を分解した時の最小単位、くらいの意味.非常に単純.
エージェンシーはエージェントの集合体.「意味のある動作をする」というニュアンス.

#34 p.34の「エージェント」だけは少し意味合いが異なり、実世界身体の意.

  • 『心とは何かを説明するには、心でないものから心がどのようにして作られるかを示さなければならない。』 『心の社会』 p.4
  • 『 ... 痛みや空腹感が、けがをしたものや腹の減っているもの自体に内在しているのではない ...(中略)... エージェンシーたちや、神経線維の束の、複雑なネットワークに依存している。 ...(中略)... いずれにしても、苦痛----あるいはさらに<感じる>こと全般----は、結局のところ、生物学よりも文化に依存している。』 『心の社会』 pp.467--468
  • 『《心》というラベルを、あるプロセスのだけのためにとっておきたい人は、どのプロセスがその名に値するかを決めざるを得ない。 ... (中略)... 問題点は、プロセスを適切に分類する方法がまだないというところにある。』 『心の社会』 p.471
  • 『脳が主にしているのは、脳自体を変化させることなのである。 ... (中略)... 言えるかぎりにおいて、私たちの心は単なる複雑なプロセスにすぎない。 本当に問題となるのは、きわめて複雑な機械に対する私達の経験が少なすぎて、 そうした機械についてうまく考えるような準備が私たち自身にまだできていない、ということなのである。』 『心の社会』 p.472
  • 『いま、自分の脳細胞一つひとつを、同じ機能を持つように特別に設計されたコンピュータのチップで置き換え、 ...(中略)... 得られた機械を脳と全く同じ環境に置いたとしたら、その新しい機械は、脳内のプロセスと同じプロセスを生み出すだろう。 このとき、その新しい機械は、自分と同じだろうか。 ...(中略)... この場合の本当の問いは、《自分》の意味ではなくて、《同じ》の意味にある。』 『心の社会』 pp.472--473
  • 『脳の中のインタラクションをすべて完全に正確にコピーする、という考え方は、実際的でない。 ...(中略)... 自分のコピーであるような機械としての脳は、自分と同じ心は持たないだろう。 ...(中略)... だからといって、それを誇りに思えるだろうか。 ...(中略)... 年をとるにつれて自分がちょっと前の自分と同じではなくなる、ということを考えてみればよい。』 『心の社会』 pp.473--474
第35話
兵器開発(#35 p.09
  • 『新兵器というのは実用が始まるとすぐ、あるいは実用が始まる前にでも、すぐに旧式化してしまうことがある。...(中略)... いまだかつてないほど多数の兵器が試験されないままに放置されることになった。もっと悪いことには、やっと欠点が直されたころには、 同じように試されたこともない新兵器に、とって代わられるということになるのだ。』 『戦争のテクノロジー』 p.348
  • 『英国のドレッドノート級戦艦は、数百年にわたる戦艦の発達がもたらした一つの頂点であった。 五十年たらずのあいだに、この種類の戦艦百七十隻が千五百億ドル(一九八二年ドルで)以上もの費用をかけて建造された。そのうち半分以上もが、他の戦艦と戦場で相まみえることもなく終わった。...(中略)... 元来は大洋を制覇するためにつくられた戦艦だったが、現実には、その一生を危険におびえながら、安全な港のなかで隠れて過ごす結果になったのである。』 『戦争のテクノロジー』 pp.398--399
  • 『 ... ソ連はB70に対抗する兵器として、ミグ25の開発を始めた。 ...(中略)... だが迎撃すべき高速、高空を飛ぶ爆撃機がないとき、ミグ25にはあまりやる仕事もなくなる。 ミグ25は高空を高速で飛べるのだが、運動性はあまりよくはなかったし、行動半径も小さく、積載量も多くなかった。...(中略)... ミグ25にはたった一つ残された有用な役目があることをだれも口にしなかった。それは西側の政府を震えあがらせて、ミグ25のいまでも神話にまでまつり上げられている性能に対して、 対抗措置をとるように仕向けることであった。』 『戦争のテクノロジー』 p.350
ヤ連の「平和」(その2)(#35 p.11
  • 『ソ連人にとっての平和とは、近隣諸国の集合体以上に強力になること ...(中略)... ソ連の安全を脅かす兆候を示す隣国に軍隊を派遣することを意味する。 ...(中略)... 形式的な同盟国の人々は、心からロシア人を嫌っている。 ...(中略)... ソ連と国境をかかえている国はほぼすべて、ソ連に対して何らかの 遺恨をもっている。隣国はみなソ連を自国の存在への脅威とみている。 ...(中略)... ソ連軍兵士の約半数は人種的にはロシア人ではなく、 銃を突きつけられてロシア帝国への編入を要請され、一度は征服された人々の子孫である。』 『戦争回避のテクノロジー』 pp.175--176
  • 『南方スラブ人(ユーゴ)は、銃を突きつけられなければ、汎スラブ主義など買いはしない。』 『国際紛争の読み方』 p.264
第38話
ロシア・ウクライナガス紛争(#38 p.01
  • 『 ... ロシア産ガスの旧ソ連諸国向け価格は、その多くが西欧向けをはるかに下回る価格となっている。 ロシアは東西冷戦体制を安価なガス価格で支えてきたが、旧ソ連邦崩壊後も旧ソ連諸国の外貨支払能力不足から、 パイプラインの通過料とロシア産ガスの現物取引(バーター)を継続してきた。
    しかし、九〇年代のウクライナとロシアの間にはウクライナによるロシア産ガスの不法抜き取りや不払い問題があり、 ロシアはウクライナに対して度々供給停止を実施している。 ...(中略)... 今回の問題は、オレンジ革命で誕生した親欧米路線をとるユーシチェンコ大統領政権下のウクライナとロシア間の不信感、ますます顕在化しつつある欧州エネルギーの対ロシア依存度の上昇、 世界的なエネルギー安全保障を巡る状況等がその政治的意味合いを増幅させたといえる。』 『エネルギーレビュー26(3)』 p.47
  • 『ここ数年、プーチン政権はロシアのエネルギー産業の国家統制色を強めている。 ...(中略)...
    [国営ガス会社] ガスプロムは今係争中の交渉当事者であるが、同社取締役メンバー一一名の内五名は連邦政府関係者であり(二〇〇五年七月現在)、 ガスプロムの行動はロシア政府の政治的な支持に基づいて行われていると見るべきである。』 『エネルギーレビュー26(3)』 p.47
  • 『さて、従来の四~五倍という値上げを到底受け入れられないウクライナは、ロシア黒海艦隊の駐留費の値上げを対案提示するなど、 ガス価格の交渉は両国間関係の緊張度をうかがわせるに十分であり、次第に政治色を濃くしていく。 ...(中略)... 今回のロシア側の主張で特徴的なのは、ガスプロムがウクライナに欧州向けの通過パイプライン権益の一部所有を認めさせようとしたことで、認めなければ値上げを断行するとしたことである。 すなわち、ロシアは今回の交渉を契機に、ウクライナを通過するパイプラインに一定の影響力を保持することを狙ったものと理解できる。』 『エネルギーレビュー26(3)』 pp.47--48
第52話
お姫[ひい]殿(#52 p.14
「お姫[ひい]様」は、「師匠様」と似ていて、神事と人の間を受け持つ家系、巫女、巫[かんなぎ]くらいの意味. ここではシャーマンというのは勿論、竜族の精神統合体と言葉を交わす、ということ.
第53話
アースラ級(#53 p.19
アースラは元々旧式のL級艦船[公式]. 新暦75年で次世代型とされるXV級[公式, StrikerS #20,#21] よりも小さいが、 再三の(ウミナリーズの)活躍により見直され、設計思想を受け継ぐ「アースラシリーズ」後継モデルがマクロス級のごとく建造された、とする.
  • アースラII (DeM) アレ、XV級になってる……ヤベ
  • ベヘモス・アースラ (draBa、次元強襲揚陸仕様)
第56話
20年以上前にフラグシップ機……64年製ChG-MV1 ……防御は堅かった(#56 p.14
Chrono-Garden in MOVIE 1st では防御は堅かったが、でも2人でなら……!

無印とA'sは新暦65年換算である(10年後のStSが75年[公式]).ドラッバはこの23年後、88年となる.
さらにどーでもいいがトライアングルエースは56年生まれ、ヴィヴィオは69年生まれ相当
(75年から4年が経過し[公式, ViVid Memory;01] 10歳[公式, ViVid Memory;02] .)

第58話
チャドルの入口(#58 p.22
モンゴル系遊牧民(=円天幕ユルタ)『天幕』 p.102 にせよ、ユルック遊牧民(=黒天幕チャドル)『遊牧の世界』 p.28 にせよ、 それぞれ入口の方向や物の置き場所、人の居場所が決められているようだ. 『天幕』p.102によれば、入口から最も遠く暖かい最奥が上座で、ここに家長や上客が座る.

ドラッバでは円天幕と黒天幕がごっちゃになっていることに加え、中の位置関係は適当.「右方」と「左方」が逆(上座から見た表現)になっているが、これも特に意味は無いテヘペロ☆(・ω<)

「役人」(#58 p.28
ユルック遊牧民が敵対視する「お役人」は誰であったか.

1つには憲兵(ジャンダルマ)『遊牧民の肖像』 pp.389--390 . 定住化法(1934~)に従って、遊牧民を追いたてて来たのも憲兵である.

さらに、徴税官(スルカジ、タフシンダル)『遊牧民の肖像』 p.163 .ジャンダルマと提携してユルックの移動路に待ち受け、家畜税の取り立てを行っていた.

また、森林官(オンマルジ)『遊牧民の肖像』 p.314 .森林、植林の所有を巡って多く定住村側に味方していた.

家畜税の事前払込み窓口は、県庁あるいは群庁の財務局窓口『遊牧民の肖像』 p.163 . 古くは遊牧民の長(ムフタル)も村長扱いだったため、同じく県庁あるいは群庁のいずれかの窓口とやりとりがあったと思われるが、詳らかでない.

第62話
闇の書の栞(#62 p.12
この栞は圧縮済み起動シークエンスプログラム.
雪の王(#62 p.12
StS第02話「アーテム・デス・アイセス」の際はやてが詠唱している[公式]
第63話
お足(#63 p.15
ここでは現金のこと.足がついているように人々の間を行き交うことから(室町時代以降). どうもこの言葉には「金は天下の回りもの」的な豪気な気風が含まれているように感じる.現金収入を求めて苦しむ民族性には似つかわしくない気もする.
OH GOTT!!(#63 p.25
ガラテイヤの口からオーマイガッが出てくるのは違和感が残る.しかし人間のしぐさを真似るうちに染みついた……という設定.
第64話
年齢の紹介(#64 p.10
ヴィヴィオの機転.
アインハルトに対して姉妹の年齢をミッド式に直し、姉妹に対しアインハルトの年齢をルシエ式(オンアルトゥ=16歳)に直している.
参考文献
  1. 『魔法少女リリカルなのはStrikerS 設定資料集 SIDE A』, なのはStrikerS PROJECT, 2007.
  2. 『魔法少女リリカルなのはStrikerS 設定資料集 SIDE B』, なのはStrikerS PROJECT, 2007.
  3. 松原正毅. 『遊牧の世界 トルコ系遊牧民ユルックの民俗誌から』(平凡社ライブラリ520), 平凡社, 2004.
  4. 松原正毅. 『遊牧民の肖像』(角川選書204), 角川書店, 1990.
  5. 松井健. 『遊牧という文化 移動の生活戦略』(歴史文化ライブラリー109), 吉川弘文館, 2001.
  6. エドワード・エバンズ=プリチャード監修, 『世界の民族15 中央アジア・西アジア』, 平凡社, 1979.
  7. トーボー・フェーガー, 磯野義人 訳, 『天幕 遊牧民と狩猟民のすまい』, SPS出版, 1986.
  8. 荻野矢慶記. 『トルコ 遥かなる大地 萩野矢慶記写真集』, 東方出版, 2002.
  9. 江口保夫. 『素晴らしきかなトルコの顔』, 光村推古書院, 1998.
  10. 水町真砂子. 『「織物」用具と使い方』(初級技法講座), 美術出版社, 1996.
  11. ナデール・モラディアン. 『キリムのある部屋』, アートダイジェスト, 1993.
  12. Ahmad H. Sakr. Al-Jinn, Islamic Book Service, 2001.
  13. 湯浅博雄. 『聖なるものと〈永遠回帰〉』, ちくま学芸文庫, 2004.
  14. John J. Mettler. "Basic Butchering of Livestock & Game", Storey Books(Rev and Updated), 1986.
  15. ジャック・ハム, 島田照代. 『動物の描き方』, 建帛社, 1977.
  16. ジェイムズ・F・ダニガン, 小川敏訳. 『戦争のテクノロジー』, 河出書房新社, 1984.
  17. ジェイムズ・F・ダニガン, ウィリアム・マーテル, 北詰洋一訳. 『戦争回避のテクノロジー』, 河出書房新社, 1990.
  18. ジェイムズ・F・ダニガン, オースティン・ベイ, 小川敏訳. 『国際紛争の読み方』, 河出書房新社, 1986.
  19. 松戸清裕, 『歴史のなかのソ連』(世界史リブレット92), 山川出版社, 2005.
  20. マーヴィン・ミンスキー, 安西祐一郎訳, 『心の社会』, 産業図書, 1990.
  21. 村木茂, 『ロシアの天然ガス供給停止の波紋-ウクライナ問題と日本への示唆-』, エネルギーレビュー, 26(3), 2006.